イリヤの空、UFOの夏 その1 【70】 [電撃文庫]
夏が迫ると、アイス片手に読みたくなるライトノベルの金字塔。
「6月24日は全世界的にUFOの日」新聞部部長・水前寺邦博の発言から浅羽直之の「UFOの夏」は始まった。当然のように夏休みはUFOが出るという裏山での張り込みに消費され、その最後の夜、浅羽はせめてもの想い出に学校のプールに忍び込んだ。驚いたことにプールには先客がいて、手首に金属の球体を埋め込んだその少女は「伊里野可奈」と名乗った…。おかしくて切なくて、どこか懐かしい…。ちょっと“変”な現代を舞台に、鬼才・秋山瑞人が描くボーイ・ミーツ・ガールストーリー、登場。
ストーリー:5
キャラクター:5
世界観:10
文章:8
イラスト:6
意外性:8
オリジナリティ:7
見せ場:6
演出・構成:7
セリフ:8
総点:70
「ライトノベル史に残る」と言われ続ける作品。そのように言われ続ける限り、この作品は愛され続けるんでしょうね。僕にとってもバイブルです。夏には読みたくなります。
「ボーイ・ミーツ・ガール」。最近では逆に使われなくなったキャッチですが、その響きが持つ魅力は今も変わらず。いつまでも読者をワクワクさせてくれることでしょう。
大まかなストーリー自体は既視感漂うもの。だけど言葉の一つ一つ、表現がとても瑞々しい。一回読んだら、この文章は絶対秋山さんだ! って言えるほどの文章のクセがあります。
何気ない日常の描写一つで、格の違いを見せつけられているような気分になります。
多分マネしようと思って書けるような文章ではないんですよね。難しく書いてるわけじゃないけど、この感性は他の人にはないものだから。
「戦争が始まる」と言われ続ける、ちょっと“変”な青春。
いつまでたっても始まらない戦争は、平和の証であるはずなのに、どうにも一つ壁の向こうの非日常を意識してしまう。まるですりガラス越しに見ているようなニアミス感が会話や描写の端々から感じられます。
今まで読んだボーイ・ミーツ・ガールとは全く違う空気が漂っています。SFでありながら、ごく平凡な日常系。いや、おそらく読む人によってジャンル分けは異なってくるのかな。
平和と非日常。そのモザイクが剥がれかけたのが空爆訓練のシーンでした。
突如鳴り響いた警報に驚きつつも、訓練だと知るや否や安堵し腰を下ろす浅羽。それに対して、ひどく怯えながら浅羽を連れ出し、必死にシェルターへと非難しようとするイリヤ。
長々しい描写なんていらなかった。たったこれだけのシーンで、あっという間にセカイへと引きずり込まれました。
2人の間には決して埋まることのない溝があって、それは性格でも相性でもなく、住む世界の常識だったことも分かりました。
4冊完結、つまり1巻はまだ「起」の部分。ですので、とりあえずここで終わることにします。
まだ戦争は始まらない。けれど、まだ夏は終わらない。そして、まだ謎は明かされない。ないない尽くしの1巻でした。
楽しくも儚い夏は、あともう少し続きます。ライトノベルの金字塔、素晴らしきボーイ・ミーツ・ガールの源流に触れてみてください。
「6月24日は全世界的にUFOの日」新聞部部長・水前寺邦博の発言から浅羽直之の「UFOの夏」は始まった。当然のように夏休みはUFOが出るという裏山での張り込みに消費され、その最後の夜、浅羽はせめてもの想い出に学校のプールに忍び込んだ。驚いたことにプールには先客がいて、手首に金属の球体を埋め込んだその少女は「伊里野可奈」と名乗った…。おかしくて切なくて、どこか懐かしい…。ちょっと“変”な現代を舞台に、鬼才・秋山瑞人が描くボーイ・ミーツ・ガールストーリー、登場。
「ほんとの空襲だったらよかったのに」
そう言った。
「みんな死んじゃえばよかったのに。負けちゃえばよかったのに」
ストーリー:5
キャラクター:5
世界観:10
文章:8
イラスト:6
意外性:8
オリジナリティ:7
見せ場:6
演出・構成:7
セリフ:8
総点:70
「ライトノベル史に残る」と言われ続ける作品。そのように言われ続ける限り、この作品は愛され続けるんでしょうね。僕にとってもバイブルです。夏には読みたくなります。
「ボーイ・ミーツ・ガール」。最近では逆に使われなくなったキャッチですが、その響きが持つ魅力は今も変わらず。いつまでも読者をワクワクさせてくれることでしょう。
大まかなストーリー自体は既視感漂うもの。だけど言葉の一つ一つ、表現がとても瑞々しい。一回読んだら、この文章は絶対秋山さんだ! って言えるほどの文章のクセがあります。
何気ない日常の描写一つで、格の違いを見せつけられているような気分になります。
多分マネしようと思って書けるような文章ではないんですよね。難しく書いてるわけじゃないけど、この感性は他の人にはないものだから。
「戦争が始まる」と言われ続ける、ちょっと“変”な青春。
いつまでたっても始まらない戦争は、平和の証であるはずなのに、どうにも一つ壁の向こうの非日常を意識してしまう。まるですりガラス越しに見ているようなニアミス感が会話や描写の端々から感じられます。
今まで読んだボーイ・ミーツ・ガールとは全く違う空気が漂っています。SFでありながら、ごく平凡な日常系。いや、おそらく読む人によってジャンル分けは異なってくるのかな。
平和と非日常。そのモザイクが剥がれかけたのが空爆訓練のシーンでした。
突如鳴り響いた警報に驚きつつも、訓練だと知るや否や安堵し腰を下ろす浅羽。それに対して、ひどく怯えながら浅羽を連れ出し、必死にシェルターへと非難しようとするイリヤ。
長々しい描写なんていらなかった。たったこれだけのシーンで、あっという間にセカイへと引きずり込まれました。
2人の間には決して埋まることのない溝があって、それは性格でも相性でもなく、住む世界の常識だったことも分かりました。
4冊完結、つまり1巻はまだ「起」の部分。ですので、とりあえずここで終わることにします。
まだ戦争は始まらない。けれど、まだ夏は終わらない。そして、まだ謎は明かされない。ないない尽くしの1巻でした。
楽しくも儚い夏は、あともう少し続きます。ライトノベルの金字塔、素晴らしきボーイ・ミーツ・ガールの源流に触れてみてください。
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ライトノベル界の三大犯罪者(私的認定)に数えられる秋山瑞人―――出てきましたね、イリヤの空。秋山瑞人のファン的には<売り>にきた、媚を売った作品と捉えられているようですが、私は渋面を作りながらもやっぱり、巧めえなしかし、と心憎く思ってしまう作品です。彼の存在がライトノベル擁護派を勢いづけている気がしますね。季節を表現できれば、どんな作品も名作風味を出せますが、特に「夏」は一番青春を感じる季節だと思っています。という訳で、本作の夏っぷりには圧倒されました。
by Medeski (2011-07-05 23:05)
こんばんは。
「イリヤの空」・・・懐かしい、そして夏い(笑)。
夏とSF、ボーイ・ミーツ・ガール。ベタな組み合わせですが、イイですね。
アニメにもなりましたっけ。
これからもライトノベルのクラシックとして、輝き続けるでしょう。
読んでいるブログ登録、ありがとうございます!
by naomatrix (2011-07-06 21:56)
Medeskiさん、コメントありがとうございます。
犯罪者ですかw 僕にとっても秋山さんは「中村恵里加」「壁井ユカコ」と併せて最も衝撃を受けた作家です。
七朝、コンバット、ミナミノ、地球儀とある程度読んできましたが、言われてみると「読みやすさ」や「普遍的」といった言葉に収まりそうな作品ですね。
しかしそれ故か、やっぱり代表作として捉えたくなる自分もいます。この作品はハッキリと「青!」ってカラーが出ていて、そのせいで僕の中では秋山さんはもう「青」で固定されているほどですw
本当に夏ですね。「暑くなってきたなぁ。よし、イリヤ読むか」はもう定番になりつつありますw
by ask (2011-07-06 22:03)
naomatrixさん、コメントありがとうございます。
夏い……響きがいいですねぇ(笑)。
本当に青々としていてほのぼのとした作品ですよね!……今のところはw
ライトノベルではベタなこの組み合わせも、この時期の作品から広まっていったんだなぁと思うと、あと何年か早く生まれたかったと思いますw
ライトノベルのクラシック、ラノベ名作選なるものを作るのであれば、真っ先に載せたい作品です。
>読んでいるブログ登録、ありがとうございます!
いえいえ! これからもよろしくお願いします!
by ask (2011-07-07 21:50)
初めまして。
これは一巻まで読んだんですが、何だかんだで続刊を読むタイミングを逃しちゃったんですよね。
とにかく、文章が読みやすいなあ、と思いました。
戦争が始まる前の至って平穏な雰囲気だなと感じたのですが、その物語はこの後発展していくのでしょうか?
もしそうならば、早く読まなくちゃと思います。
by サクラ (2011-07-11 15:47)
サクラさん、コメントありがとうございます。
初めまして。と言っても、僕は以前のブログ繋がりで何度か名前をお見かけしたことがありました。
あまりネタバレはよろしくないので、クリティカルなことは言わないようにしますが、間違いなく発展します。
「起承転結」の4作構成はこの為なのかと、思わず唸ってしまいました。
電撃hpで掲載されていたこともあるのか、この作品は4冊で1冊とみるべきなのかもしれません。どこかで切れてはいけない。そんな印象を抱きました。
ぜひ続きを手に取ってみてください。きっと、楽しんでもらえると思います。
by ask (2011-07-11 22:47)
お久しぶりです。twitterは一時復帰したのかな?貼りつかないようにお気をつけください。ネットは怖い。
秋山瑞人、レヴューしました。やはり書いてみて思ったのはふふふん、まったく、性質の悪い作家でした。私は彼の禁固刑を所望します。
それでは、目指せ―――阪大!いや、京大!そして、会社興して俺を部下にしてください!
by Medeski (2011-11-06 09:36)