煌夜祭 【74】 [C☆NOVELSファンタジア]
テレビ放映されていた「ダンタリアンの書架・序章」を観ました。
アニメ開始に先駆けて放送されたこの番組は、「第一次世界大戦」「ビブリオマニア」「貴族」「ゴシック」という4つのキーワードから「ダンタリアンの書架」という作品を詰めていこうじゃないかというものです。
それぞれのワードに先見の明がある専門家を招き、ダンタリアンの世界を外堀から埋めていく。
近世の西欧の国際事情、産業革命が貴族に与えた影響、上層貴族が生み出した精神文化。作品の荘重な雰囲気を際立たせる内容でした。
中でも面白かったのは「ビブリオマニア」。本を所有することが目的であって、読むということが形骸化しているという彼らは、積本が増えだしたにもかかわらず新刊を買い回る僕にどうしても被ってしまってw
しかし真面目な話、「買い付けたときに抜け落ちているページを本物そっくりに復元する」こと専門の職業があるだなんて知りませんでした。こうした知識を得た後で作品を読んでみると、ヒューイの祖父がいかに有閑貴族であったかが暗に感じ取れますね。
他のアニメ作品、とくに歴史に重きを置いている作品はぜひこういう特集を組んでほしいです。この知識は作品にも間違いなくプラスになりますし。
十八諸島の世界を巡り、世界各地で話を集め、他の土地へと伝え歩く。それが我ら語り部の生業。冬至の夜、我らは島主の館に集い、夜を通じて話をする。それが煌夜祭―年に一度の語り部の祭。お話ししよう。夜空を焦がす煌夜祭の炎壇でも照らすことの出来ない、真の闇に隠された恐ろしい魔物の物語を…廃墟となった島主の館で、今年もまた二人だけの煌夜祭が始まった―!第2回C・NOVELS大賞受賞作。
ストーリー:8
キャラクター:5
世界観:8
文章:8
イラスト:6
意外性:7
オリジナリティ:7
見せ場:9
演出・構成:9
セリフ:7
総点:74
冬至になると人を襲う魔物と、その魔物に襲われないために開かれる語り部の祭、煌夜祭。
たった2つのキーワードで廻るこの作品。とんでもない傑作でした。
結局は1つの結末に収着する7つの掌編で構成されているのですが、群像劇と言うにはあまりに壮大すぎる気がします。
世代や時代すらも越えて人の想いが叶ってしまう、そんなドデカい懐を持ったストーリー。なんというか、とても包容力があります。ガッツリ引き込まれるのではなく、徐々に自分が沁み渡っていくようなイメージ。
楽しめるというよりは、きれいに整えられた世界観に浸る作品なのかなと思います。
7つの章を「点」と置くなら、その7編が結ばれたときの高揚と感動がとにかく大きな位置を占めています。
加えて、これが他の似た形式の作品と異なるところは、その7つの点が結ばれるときが「ラストページ」だというところです。もう、これに尽きます。
表紙を捲ったとき、既に蓄積され始めていた感動とか興奮とかいったものが徐々にせり上がり、ラストシーンでぶわっと弾ける。堪えていたものが溢れて止まりませんでした。
多崎さんの作品の特徴として挙げておきたいのはやはり「絶対的な敵がいないこと」です。デビュー作であるこの煌夜祭にもそれは十分に反映されていて、「人を襲うから魔物は悪だ」と簡単に割り切れないことが、何よりの魅力でありもどかしいところ。
そんな葛藤や、驚きのストーリー構成、全てを楽しんでほしいです。
1冊200ページ弱。嘘ですよそんなの。何冊あっても足らないほどの重厚なファンタジーでした。
アニメ開始に先駆けて放送されたこの番組は、「第一次世界大戦」「ビブリオマニア」「貴族」「ゴシック」という4つのキーワードから「ダンタリアンの書架」という作品を詰めていこうじゃないかというものです。
それぞれのワードに先見の明がある専門家を招き、ダンタリアンの世界を外堀から埋めていく。
近世の西欧の国際事情、産業革命が貴族に与えた影響、上層貴族が生み出した精神文化。作品の荘重な雰囲気を際立たせる内容でした。
中でも面白かったのは「ビブリオマニア」。本を所有することが目的であって、読むということが形骸化しているという彼らは、積本が増えだしたにもかかわらず新刊を買い回る僕にどうしても被ってしまってw
しかし真面目な話、「買い付けたときに抜け落ちているページを本物そっくりに復元する」こと専門の職業があるだなんて知りませんでした。こうした知識を得た後で作品を読んでみると、ヒューイの祖父がいかに有閑貴族であったかが暗に感じ取れますね。
他のアニメ作品、とくに歴史に重きを置いている作品はぜひこういう特集を組んでほしいです。この知識は作品にも間違いなくプラスになりますし。
十八諸島の世界を巡り、世界各地で話を集め、他の土地へと伝え歩く。それが我ら語り部の生業。冬至の夜、我らは島主の館に集い、夜を通じて話をする。それが煌夜祭―年に一度の語り部の祭。お話ししよう。夜空を焦がす煌夜祭の炎壇でも照らすことの出来ない、真の闇に隠された恐ろしい魔物の物語を…廃墟となった島主の館で、今年もまた二人だけの煌夜祭が始まった―!第2回C・NOVELS大賞受賞作。
「必ず守ります」私は両手を広げ、その美しい風景を胸に抱きしめた。「全身全霊をかけてこの島を守ると――この金色の海に誓います」
ストーリー:8
キャラクター:5
世界観:8
文章:8
イラスト:6
意外性:7
オリジナリティ:7
見せ場:9
演出・構成:9
セリフ:7
総点:74
冬至になると人を襲う魔物と、その魔物に襲われないために開かれる語り部の祭、煌夜祭。
たった2つのキーワードで廻るこの作品。とんでもない傑作でした。
結局は1つの結末に収着する7つの掌編で構成されているのですが、群像劇と言うにはあまりに壮大すぎる気がします。
世代や時代すらも越えて人の想いが叶ってしまう、そんなドデカい懐を持ったストーリー。なんというか、とても包容力があります。ガッツリ引き込まれるのではなく、徐々に自分が沁み渡っていくようなイメージ。
楽しめるというよりは、きれいに整えられた世界観に浸る作品なのかなと思います。
7つの章を「点」と置くなら、その7編が結ばれたときの高揚と感動がとにかく大きな位置を占めています。
加えて、これが他の似た形式の作品と異なるところは、その7つの点が結ばれるときが「ラストページ」だというところです。もう、これに尽きます。
表紙を捲ったとき、既に蓄積され始めていた感動とか興奮とかいったものが徐々にせり上がり、ラストシーンでぶわっと弾ける。堪えていたものが溢れて止まりませんでした。
多崎さんの作品の特徴として挙げておきたいのはやはり「絶対的な敵がいないこと」です。デビュー作であるこの煌夜祭にもそれは十分に反映されていて、「人を襲うから魔物は悪だ」と簡単に割り切れないことが、何よりの魅力でありもどかしいところ。
そんな葛藤や、驚きのストーリー構成、全てを楽しんでほしいです。
1冊200ページ弱。嘘ですよそんなの。何冊あっても足らないほどの重厚なファンタジーでした。
タグ:71~80
7/10、一生忘れられない「夏祭り」 (その1) [音楽とか]
2011年、7月11日…………。
4年間、積りに積もった鬱憤と寂寥と嫉妬と憧憬を総て総清算した、僕にとって忘れられない日…………。
ヤバいよ……ヤバいよ……。
ファンになって4年目。ついにやってきました。僕にとっての記念日、集大成、そして始まり……。
そりゃあ何度も参戦経験のある、尊敬するベテランさんからしたら毎年の1公演かもしれません。けれど、僕にとっての初めてはここしかないんです。
もうなんか、いろいろなことに感極まった1日でした。
以下、追記に記載。
メグとセロンⅠ 三三〇五年の夏休み(上) 【57】 [電撃文庫]
電波女最終回。なんでだろう。最終回でホームランとか親父とかエリオとかリュウシさんとか女々さんとか四十路お化けとかいろいろあったのに、なんで前川さんばっかり見てしまうんだろう。
可愛かった。可愛かった。可愛かった。可愛かった。可愛かった。
そうだ、電波女読み返そう。
多分そのうち怒涛の電波女ラッシュ、始まります。
ルックスも頭も良くて女子に大人気のセロンと、可愛くおとなしそうで実は正義感あふれる天然系(?)のメグを中心に、個性豊かな仲間たちの、恋あり、友情あり、ミステリーあり、のドキドキハラハラワクワクドタバタ学園物語がスタート!夏休みに入ってすぐ、親友・ラリーの誘いで、演劇部の合宿(手伝い)に参加したセロンは、メグも合宿に参加していることを知る。なんとか親しくなれないかと苦心するセロン。そんな中、学校敷地内にある、今は使われていないはずの古い倉庫の地下に、謎の人物(?)が潜んでいるらしいことを知る。セロンは、ラリーやメグを含んだ仲間たちと倉庫探索に乗り出すが―!?時雨沢恵一&黒星紅白が贈る『アリソン』『リリトレ』に続く、待望の新シリーズ、第1弾。
ストーリー:5
キャラクター:8
世界観:5
文章:7
イラスト:8
意外性:3
オリジナリティ:3
見せ場:4
演出・構成:7
セリフ:7
総点:57
『キノの旅』で有名な時雨沢先生のシリーズ。
アニメ化もされた『アリソン』『リリアとトレイズ』のスピンオフ的作品ですが、正直知らなくても全然問題ないです。シリーズ未読者も読めるような内容になっています。知っているに越したことはありませんけどw
誠実な隣国の少女メグに、ハンサムながらも乙女心を持ち合わせるセロン。
そセロンの友人で軍人志望のラリーや新聞部部長のジェニー、ラリーを弄ぶ姉御肌なナタリア、中性的な容姿を持つ謎多き青年ニックが加わって、一癖も二癖もある謎や事件に挑むほのぼのシリーズ。
とにかく6人の役割にムダがなくて、掛け合いが面白い。時雨沢先生が気を付けているという、難しい言葉を使わない優しい筆致と交わって、どこかアメリカのホームドラマを見ているような気分です。
大元はセロンがメグとの距離を縮めようとする話なのだけれど、黒星先生のイラストやラリーとナタリアの掛け合いをはじめ、見どころは満載。とくに女性陣、黒星先生のイラストが可愛らしい!
若干のミステリ要素を含みつつ、物語は夏休みから始まります。
演劇部の手伝いという名目を活かして2人を接近させようと画策するラリー。僕はそんな優しい君が大好きです。
学校の地下室にまつわる不思議な噂を聞いた6人が起こした行動と、噂の真相は上下構成の下巻で明かされますよ。
実は冒頭にセロンとメグの近い未来の姿があったりして。
それは、今から想像するには到底難しい光景だったけれど、他の4人(特にナタリー姉様)に任せたら本当にどうとでもなりそうだから怖いですね。
でも、一向に縮まる気配のない2人の距離をもどかしく眺めているのも悪くないかも。そう思わせてくれるほどアットホームな雰囲気のライトノベルでした。癒される。
可愛かった。可愛かった。可愛かった。可愛かった。可愛かった。
そうだ、電波女読み返そう。
多分そのうち怒涛の電波女ラッシュ、始まります。
ルックスも頭も良くて女子に大人気のセロンと、可愛くおとなしそうで実は正義感あふれる天然系(?)のメグを中心に、個性豊かな仲間たちの、恋あり、友情あり、ミステリーあり、のドキドキハラハラワクワクドタバタ学園物語がスタート!夏休みに入ってすぐ、親友・ラリーの誘いで、演劇部の合宿(手伝い)に参加したセロンは、メグも合宿に参加していることを知る。なんとか親しくなれないかと苦心するセロン。そんな中、学校敷地内にある、今は使われていないはずの古い倉庫の地下に、謎の人物(?)が潜んでいるらしいことを知る。セロンは、ラリーやメグを含んだ仲間たちと倉庫探索に乗り出すが―!?時雨沢恵一&黒星紅白が贈る『アリソン』『リリトレ』に続く、待望の新シリーズ、第1弾。
俺――今、すごく幸せだ……。
ストーリー:5
キャラクター:8
世界観:5
文章:7
イラスト:8
意外性:3
オリジナリティ:3
見せ場:4
演出・構成:7
セリフ:7
総点:57
『キノの旅』で有名な時雨沢先生のシリーズ。
アニメ化もされた『アリソン』『リリアとトレイズ』のスピンオフ的作品ですが、正直知らなくても全然問題ないです。シリーズ未読者も読めるような内容になっています。知っているに越したことはありませんけどw
誠実な隣国の少女メグに、ハンサムながらも乙女心を持ち合わせるセロン。
そセロンの友人で軍人志望のラリーや新聞部部長のジェニー、ラリーを弄ぶ姉御肌なナタリア、中性的な容姿を持つ謎多き青年ニックが加わって、一癖も二癖もある謎や事件に挑むほのぼのシリーズ。
とにかく6人の役割にムダがなくて、掛け合いが面白い。時雨沢先生が気を付けているという、難しい言葉を使わない優しい筆致と交わって、どこかアメリカのホームドラマを見ているような気分です。
大元はセロンがメグとの距離を縮めようとする話なのだけれど、黒星先生のイラストやラリーとナタリアの掛け合いをはじめ、見どころは満載。とくに女性陣、黒星先生のイラストが可愛らしい!
若干のミステリ要素を含みつつ、物語は夏休みから始まります。
演劇部の手伝いという名目を活かして2人を接近させようと画策するラリー。僕はそんな優しい君が大好きです。
学校の地下室にまつわる不思議な噂を聞いた6人が起こした行動と、噂の真相は上下構成の下巻で明かされますよ。
実は冒頭にセロンとメグの近い未来の姿があったりして。
それは、今から想像するには到底難しい光景だったけれど、他の4人(特にナタリー姉様)に任せたら本当にどうとでもなりそうだから怖いですね。
でも、一向に縮まる気配のない2人の距離をもどかしく眺めているのも悪くないかも。そう思わせてくれるほどアットホームな雰囲気のライトノベルでした。癒される。
タグ:51~60
イリヤの空、UFOの夏 その1 【70】 [電撃文庫]
夏が迫ると、アイス片手に読みたくなるライトノベルの金字塔。
「6月24日は全世界的にUFOの日」新聞部部長・水前寺邦博の発言から浅羽直之の「UFOの夏」は始まった。当然のように夏休みはUFOが出るという裏山での張り込みに消費され、その最後の夜、浅羽はせめてもの想い出に学校のプールに忍び込んだ。驚いたことにプールには先客がいて、手首に金属の球体を埋め込んだその少女は「伊里野可奈」と名乗った…。おかしくて切なくて、どこか懐かしい…。ちょっと“変”な現代を舞台に、鬼才・秋山瑞人が描くボーイ・ミーツ・ガールストーリー、登場。
ストーリー:5
キャラクター:5
世界観:10
文章:8
イラスト:6
意外性:8
オリジナリティ:7
見せ場:6
演出・構成:7
セリフ:8
総点:70
「ライトノベル史に残る」と言われ続ける作品。そのように言われ続ける限り、この作品は愛され続けるんでしょうね。僕にとってもバイブルです。夏には読みたくなります。
「ボーイ・ミーツ・ガール」。最近では逆に使われなくなったキャッチですが、その響きが持つ魅力は今も変わらず。いつまでも読者をワクワクさせてくれることでしょう。
大まかなストーリー自体は既視感漂うもの。だけど言葉の一つ一つ、表現がとても瑞々しい。一回読んだら、この文章は絶対秋山さんだ! って言えるほどの文章のクセがあります。
何気ない日常の描写一つで、格の違いを見せつけられているような気分になります。
多分マネしようと思って書けるような文章ではないんですよね。難しく書いてるわけじゃないけど、この感性は他の人にはないものだから。
「戦争が始まる」と言われ続ける、ちょっと“変”な青春。
いつまでたっても始まらない戦争は、平和の証であるはずなのに、どうにも一つ壁の向こうの非日常を意識してしまう。まるですりガラス越しに見ているようなニアミス感が会話や描写の端々から感じられます。
今まで読んだボーイ・ミーツ・ガールとは全く違う空気が漂っています。SFでありながら、ごく平凡な日常系。いや、おそらく読む人によってジャンル分けは異なってくるのかな。
平和と非日常。そのモザイクが剥がれかけたのが空爆訓練のシーンでした。
突如鳴り響いた警報に驚きつつも、訓練だと知るや否や安堵し腰を下ろす浅羽。それに対して、ひどく怯えながら浅羽を連れ出し、必死にシェルターへと非難しようとするイリヤ。
長々しい描写なんていらなかった。たったこれだけのシーンで、あっという間にセカイへと引きずり込まれました。
2人の間には決して埋まることのない溝があって、それは性格でも相性でもなく、住む世界の常識だったことも分かりました。
4冊完結、つまり1巻はまだ「起」の部分。ですので、とりあえずここで終わることにします。
まだ戦争は始まらない。けれど、まだ夏は終わらない。そして、まだ謎は明かされない。ないない尽くしの1巻でした。
楽しくも儚い夏は、あともう少し続きます。ライトノベルの金字塔、素晴らしきボーイ・ミーツ・ガールの源流に触れてみてください。
「6月24日は全世界的にUFOの日」新聞部部長・水前寺邦博の発言から浅羽直之の「UFOの夏」は始まった。当然のように夏休みはUFOが出るという裏山での張り込みに消費され、その最後の夜、浅羽はせめてもの想い出に学校のプールに忍び込んだ。驚いたことにプールには先客がいて、手首に金属の球体を埋め込んだその少女は「伊里野可奈」と名乗った…。おかしくて切なくて、どこか懐かしい…。ちょっと“変”な現代を舞台に、鬼才・秋山瑞人が描くボーイ・ミーツ・ガールストーリー、登場。
「ほんとの空襲だったらよかったのに」
そう言った。
「みんな死んじゃえばよかったのに。負けちゃえばよかったのに」
ストーリー:5
キャラクター:5
世界観:10
文章:8
イラスト:6
意外性:8
オリジナリティ:7
見せ場:6
演出・構成:7
セリフ:8
総点:70
「ライトノベル史に残る」と言われ続ける作品。そのように言われ続ける限り、この作品は愛され続けるんでしょうね。僕にとってもバイブルです。夏には読みたくなります。
「ボーイ・ミーツ・ガール」。最近では逆に使われなくなったキャッチですが、その響きが持つ魅力は今も変わらず。いつまでも読者をワクワクさせてくれることでしょう。
大まかなストーリー自体は既視感漂うもの。だけど言葉の一つ一つ、表現がとても瑞々しい。一回読んだら、この文章は絶対秋山さんだ! って言えるほどの文章のクセがあります。
何気ない日常の描写一つで、格の違いを見せつけられているような気分になります。
多分マネしようと思って書けるような文章ではないんですよね。難しく書いてるわけじゃないけど、この感性は他の人にはないものだから。
「戦争が始まる」と言われ続ける、ちょっと“変”な青春。
いつまでたっても始まらない戦争は、平和の証であるはずなのに、どうにも一つ壁の向こうの非日常を意識してしまう。まるですりガラス越しに見ているようなニアミス感が会話や描写の端々から感じられます。
今まで読んだボーイ・ミーツ・ガールとは全く違う空気が漂っています。SFでありながら、ごく平凡な日常系。いや、おそらく読む人によってジャンル分けは異なってくるのかな。
平和と非日常。そのモザイクが剥がれかけたのが空爆訓練のシーンでした。
突如鳴り響いた警報に驚きつつも、訓練だと知るや否や安堵し腰を下ろす浅羽。それに対して、ひどく怯えながら浅羽を連れ出し、必死にシェルターへと非難しようとするイリヤ。
長々しい描写なんていらなかった。たったこれだけのシーンで、あっという間にセカイへと引きずり込まれました。
2人の間には決して埋まることのない溝があって、それは性格でも相性でもなく、住む世界の常識だったことも分かりました。
4冊完結、つまり1巻はまだ「起」の部分。ですので、とりあえずここで終わることにします。
まだ戦争は始まらない。けれど、まだ夏は終わらない。そして、まだ謎は明かされない。ないない尽くしの1巻でした。
楽しくも儚い夏は、あともう少し続きます。ライトノベルの金字塔、素晴らしきボーイ・ミーツ・ガールの源流に触れてみてください。
タグ:61~70
赤鬼はもう泣かない【46】 [ガガガ文庫]
ガガガガガガガガガガガガ!
女子の二の腕をなめてしまったヘンタイ中学生(?)・西遺大豪は単身、地方の学校へと転校させられる。奇妙な担任やクラスメイトたちに囲まれながらも転校生活を慎重に送ろうとするのだが、いきなり隣の席の女生徒・喪庭ここめに指を吸われてしまってドキドキ。しかし村中の人々からは、なぜだか「垢嘗」という妖怪あつかいをうけてしまう大豪。対するここめは大豪の血を吸ったせいなのか、徐々に変化していくのだが…!?第5回小学館ライトノベル大賞、審査員特別賞受賞作。
ストーリー:4
キャラクター:3
世界観:4
文章:3
イラスト:7
意外性:7
オリジナリティ:5
見せ場:3
演出・構成:6
セリフ:4
総点:46
またまたガガガ文庫に謀られたでござるの巻。
女子の二の腕を舐めてしまった大豪が、地方の中学校に転校するというところから始まるストーリー。
あまり現実味のない序盤の展開を、小気味いいテンポの会話で牽引していくのは流石かなぁと思います。周りの住人が変人すぎて馴染めないと自分では思っている大豪だけど、読者から見たらどちらも似たり寄ったりなところも面白い。
しかし、まず一番初めに忠告しておきたいのは、変態レベルが足らないな! ってことでしょう。前半は変態性が特に強調されていましたが、全体でみるとアオリで触れていたほど主人公は変態ではありませんでした。……いや、世間一般から見たら十分に危険人物でしたがw
徐々に距離を詰めていく大豪とここめ。大豪の指の血を吸うだけという関係だけとは思えないほど、この2人は結びつきが深く見えます。
ただ、ここめのお目付け役である綿辺さんや志摩さんとの会話はいいとして、全体的にキャラをおざなりにしているような印象を受けました。特にクラスメイトに関しては一部を除いて一切触れず、その一部に組み込まれたキャラも都合のいい場面にしか登場しないという便利屋っぷり。舞台である閉鎖的な村のように、大豪とここめ2人が悪い意味で浮き立って見えました。
そして、僕がガガガにハメられた後半部。これはひどい。温かい白身魚先生の表紙イラストとか、完全に確信犯じゃないかってくらい騙された。
とにかく落差、落差、落差。ぎこちなくも回っていた歯車が徐々に外れていくように、2人を取り巻く空気の違和感が凄かった。
前半と後半の温度差が凄いだけあって、この展開を「奇を衒った」と取るか「話の焦点が合っていない」と取るか。ネタバレにしかならない気がするので、これ以上言及は避けますが、とにかく落差がキーかなと。それを感じられるかどうかが、個人の評価の差になってきそうです。
強いて言うなら、「ひぐらしのなく頃に」のイメージが強く焼き付くような作品………かなぁ。
女子の二の腕をなめてしまったヘンタイ中学生(?)・西遺大豪は単身、地方の学校へと転校させられる。奇妙な担任やクラスメイトたちに囲まれながらも転校生活を慎重に送ろうとするのだが、いきなり隣の席の女生徒・喪庭ここめに指を吸われてしまってドキドキ。しかし村中の人々からは、なぜだか「垢嘗」という妖怪あつかいをうけてしまう大豪。対するここめは大豪の血を吸ったせいなのか、徐々に変化していくのだが…!?第5回小学館ライトノベル大賞、審査員特別賞受賞作。
「死ぬのも……我慢できる?」
唇を噛む。痛みに耐える。涙を堪える。
そして、頷く。
「もちろん」
ストーリー:4
キャラクター:3
世界観:4
文章:3
イラスト:7
意外性:7
オリジナリティ:5
見せ場:3
演出・構成:6
セリフ:4
総点:46
またまたガガガ文庫に謀られたでござるの巻。
女子の二の腕を舐めてしまった大豪が、地方の中学校に転校するというところから始まるストーリー。
あまり現実味のない序盤の展開を、小気味いいテンポの会話で牽引していくのは流石かなぁと思います。周りの住人が変人すぎて馴染めないと自分では思っている大豪だけど、読者から見たらどちらも似たり寄ったりなところも面白い。
しかし、まず一番初めに忠告しておきたいのは、変態レベルが足らないな! ってことでしょう。前半は変態性が特に強調されていましたが、全体でみるとアオリで触れていたほど主人公は変態ではありませんでした。……いや、世間一般から見たら十分に危険人物でしたがw
徐々に距離を詰めていく大豪とここめ。大豪の指の血を吸うだけという関係だけとは思えないほど、この2人は結びつきが深く見えます。
ただ、ここめのお目付け役である綿辺さんや志摩さんとの会話はいいとして、全体的にキャラをおざなりにしているような印象を受けました。特にクラスメイトに関しては一部を除いて一切触れず、その一部に組み込まれたキャラも都合のいい場面にしか登場しないという便利屋っぷり。舞台である閉鎖的な村のように、大豪とここめ2人が悪い意味で浮き立って見えました。
そして、僕がガガガにハメられた後半部。これはひどい。温かい白身魚先生の表紙イラストとか、完全に確信犯じゃないかってくらい騙された。
とにかく落差、落差、落差。ぎこちなくも回っていた歯車が徐々に外れていくように、2人を取り巻く空気の違和感が凄かった。
前半と後半の温度差が凄いだけあって、この展開を「奇を衒った」と取るか「話の焦点が合っていない」と取るか。ネタバレにしかならない気がするので、これ以上言及は避けますが、とにかく落差がキーかなと。それを感じられるかどうかが、個人の評価の差になってきそうです。
強いて言うなら、「ひぐらしのなく頃に」のイメージが強く焼き付くような作品………かなぁ。
タグ:41~50
シュタゲ見て毎回自分の日々の不変っぷりをタイムリープのせいにしようと画策するんだけど結局失敗した失敗した失敗したってなってもう疲れたから鈴羽可愛い [雑記]
バカとテストと召喚獣9.5 [ファミ通文庫]
ダンタリアンにいつ天に(中略)にバカテスですか。今夏アニメはラノベばかりでワクワク半分ハラハラ半分といったところでしょうかw
僕個人としては(ラノベのみで)
ダンタリアンの書架>バカテス2期=いつか天魔の黒ウサギ>ロウきゅーぶ!>その他もろもろ
といった期待度です。特に、いつ天に関しては伝勇伝の後半の頑張りもあったので、実はかなりの期待をしております。ドラマCDで魅せてくれたような魅力を期待したいです。
……そういえば、SAOと氷結境界のエデンの特報はいつ届くんでしょう??w 楽しみにしてるんですけどねw
「吉井。ちょっと来い」
「はい。なんですか?」
「お前の提出した課題だが、全問正解だったのでやり直して来るように」
短編集も第4弾! しかしいつにも増して秀吉が可愛いなぁ!
3.5、6.5、7.5、そして今回の9.5ときているわけですが、こうやって並べてみると7.5がものすごく浮きますねw さては井上先生、
僕と子供と召喚獣
学園長が、召喚者同士で触れ合いながら「試験召喚」をすると子供ができる――というこれまた歳不相応のパトスを傾けて作ったシステムを、いつものメンバーが交代で試してみるというショートストーリー。
やっぱり井上先生は、キャラをコロコロ入れ替えていくことに一日の長があると思うんだよね。立ち回りが上手いというか、たった数行でキャラを確立させていくのが上手いのかな。
誰が誰とくっついて……というのはラブコメでは波乱の幕開けであるけれど、バカテスにかかると一味違ったものになるのが面白い。その「誰が誰と」という部分が男同士でも女同士でも全然OKだからねw 初めに明久と雄二で子供を生み出してしまったことが何よりの間違いかとw
しかし鉄人、ゲノムにおいても優性を誇るとは……w
僕と姫路さんとある日の昼下がり
井上先生曰く、「ラブコメが書きたかった」というこの短編。どこの世界に主人公がショーツを被ってヒロインに特攻していくラブコメがあるのかとw
忘れてたけれど、姫路さんは今明久の家にいるんだよね。本編では血だまりしか見ることが出来なかったけど、こうして少しでもほのぼのとした光景が見られるのはよかったかな。
しかし、うーん。どうも切れ味が落ちている感は否めない。ラブコメに傾いていることが悪いことではないけれど、どうも僕の中の「バカテス」が振り落せないでいる。それだけ初期のバカテスが好きだったていうのもあるけど。
オチはよかったw 鉄人が絡むとどうしてこう面白くなるのかw
僕と土屋家と揺れない心
完全に某年末特番のオマージュw 明久と雄二の何気ない一言が、とんでもない展開を招くというもの。
ムッツリーニや秀吉が参加するのはまだ分かるけど、なんで美波がこんなにノリノリなんだよw 君のコンプレックスはそんなに安いものだったのかい!?w 笑っちまったけどね!w
もっとネタに走ることも出来そうだったけれど、今回はムッツリーニの家族構成に終始した感じですかね。
面白みよりもキャラの位置を再確認したというか……単純に言えば満足しなかったってことになりますけどw
俺と喧嘩と不思議なバカども
雄二の一人称で語られる、入学当時の物語。雄二と明久だけでなく、美波やムッツリーニ、秀吉との馴れ初めでもある時期ですね。
周りの同級生に対して斜に構えつつも、初日からセーラー服を着てきた明久にツッコみたそうな雄二が笑えるw この頃はまだツッコミ一筋の純粋なオオカミ少年だったわけだね。いつからボケもこなせる高性能芸人になったんだいw
既にこの時期のことは美波の回想録で語られているわけだけど、雄二の視点から見るとまた新しいものが見えてくる。特に姫路さんがいないっていうのが大きいのかな。その分、霧島さんがぶっ飛ばしてるけどw
美波の教科書を巡っての一波乱。一歩も引かない時の明久は、誰の視点から見てもカッコよく映るんだね。今回も安定のカッコよさとバカ具合。
お互いのことを名前で呼ぶに到ったのは、こういう経緯があったのか。だから鉄人、あんたが絡むと全部面白いんだよ。
これから徐々に距離を詰めて、今の繋がりになる。それを思うと、語られていない空白の時間を想像するのも悪くないなぁと、ちょっとしみじみしてしまうような締めでした。
問題児たちが異世界から来るそうですよ? あら、魔王襲来のお知らせ? [角川スニーカー文庫]
これぞ、THE ごった煮!
【打倒! 魔王!】を掲げた弱小チーム”ノーネーム”に届いたのは、北の”火龍誕生祭”への招待状。魔王襲来の予言があり、東のフロアマスターである白夜叉から参加を要請されたのだ。「それ、面白そう!」と黒ウサギを置いて北へ向かった問題児たちから「今日中に私たちを捕まえられなかったら、3人ともノーネームを脱退するから!」という手紙が!? な、何を言っちゃってるんですかお馬鹿あああーー!!! どうする黒ウサギ!?
「もう寄生虫だの何だの言われたくないんだろ? 変わりたいって言ったじゃねえか。ならちょっとカッコいいところを周りに見せつけて、名を挙げてやろうぜ、リーダー」
ド派手なバトルを展開しながらも、緻密に練られた設定を駆使して、あっさりと僕ごときを虜にしくさったシリーズの2作目です。
「魔王を倒す」という突拍子もない目標を掲げた”ノーネーム”には、平穏を何よりも嫌う3人の問題児が。今回もその3人が楽しみを求めて、冒頭20ページ足らずで脱走します。そしてそれを必死で追いかける黒ウサギ……嗚呼、君は本当に苦労者だねw
たどり着いたその地区のお祭りでは、”ノーネーム”の目標である「魔王」が襲来するという予言がなされていて……波乱が起きないわけがありません。
今回も序盤からフルスロットルで何よりです先生。前巻で勢いのままにスルーしてしまった「箱庭へ来るための犠牲」という面についても冒頭からしっかりと触れていて、今後の掘り下げがさらに楽しみになりそうです。
そして問題児たちが行動範囲を広げてしまったのが災い(?)したのか、魅力あるキャラクターがあちらこちらに新登場! その賑やかさたるや、頭痛の種が増えてしまった黒ウサギに同情したくなるほどです。
飛鳥と耀はもう相変わらず可愛いし、黒ウサギの盤石なツッコミスキルも変動なし。さらに今巻は十六夜と白夜叉がチラリズムについて熱い激論を交わしたりと、どうもこのキャラたちにはこの莫大な広さを持つ「箱庭」ですら狭いようですねw 前半はそれこそ縦横無尽にキャラクターが駆け回ります。
ついでに言うと、耀の出番はあまりなかったものの、正直めちゃくちゃ可愛いです。溜まらんと。
1巻が力がすべてのパワーゲームだとするならば、2巻は完全なる知略戦と言えます。
これには驚きました。十六夜が腕を振るうだけかと思っていたのに、展開されるのはグリム童話をモチーフにした謎かけ合戦。やはりというか、読みにくさと分かりにくさは相変わらずだったんですが、かなり歯ごたえのある内容のギフトゲームになっていました。
中でもジンが十六夜に背中を押されるシーンと、飛鳥が特別な苦悩を見せるシーンは強く印象に残るほど。見せ場を見せ場として読者に読ませることが出来るのは、純粋に凄いと思います。
総評として、あのサクサクとしたテンポがダウン……平常に落ち着きつつあるものの、魅力あるキャラクターをはじめとする大事な根幹はまるでズレていませんでした。
3巻もこの知略戦を使ってくるのか、はたまた新しい試みで挑んでくるのか。何にせよ、楽しみが尽きないシリーズ、もとい作家です。次巻は12月頃だそうですよー。













